【立ち仕事が多い薬剤師必見!】元・病院薬剤師が対処法を解説

「立ち仕事がつらくて、病院薬剤師の仕事を続けられるか不安……」
「仕事と健康のバランスを保ちながら仕事をしたい」

たしかに、健康上の理由だけで薬剤師という仕事をあきらめたくありませんよね。

とはいえ、病院薬剤師は立ち仕事が多いのも事実。このまま続けていけるのか、不安になる気持ちもよくわかります。

この記事では、12年の勤務経験がある元・病院薬剤師の私「実際に立ち仕事が楽になった対処法」をお伝えします。

いな

これを試せば、生活と仕事のバランスを保ちながら仕事ができますよ。

しかし、対処法を試してみても立ち仕事がつらいと感じる場合もあるかもしれません。そんな方は転職を考える必要があるでしょう。

現在は病院薬剤師を退職し在宅ワークにチャレンジしている私が、物理的にも精神的にも立ち仕事から解放された方法もお伝えします。

ぜひ最後まで読んで、自分に合う立ち仕事の解決方法を探してくださいね。

目次

病院薬剤師が立ち仕事で抱えるデメリット

立ち仕事で抱えるデメリット
  • 足がむくむ
  • 腰痛になりやすい
  • 血管系疾患のリスクが上がる

足がむくむ

足がむくむと、足全体の血流が悪くなりだるさや痛みを伴います。疲れが取れないと仕事にも集中できなくなるでしょう。

病院での調剤業務は基本的に室内を歩き回ります。

正社員薬剤師が1日調剤室担当のシフトの場合、最大でも3〜4時間は立ちっぱなしであると考えられるのです。

いな

忙しくてなかなか休憩に入れないと、5時間以上立ちっぱなしになることもあります。

私が実際にこのようなシフトで仕事をしたとき、出勤時に履いていた靴が退勤時には履きにくくなっていました。

さらに、1日では改善せず翌日にもむくみを持ち越して、悪循環に陥っていたのです。

むくみを放置していると、さまざまな疾患につながる可能性があります。

後述するむくみ対策を行い、少しでもむくみを改善させましょう。

腰痛になりやすい

立ち仕事が多い作業は、知らないうちに腰に負担をかけています。悪化すると薬剤師業務の基本である調剤業務ができなくなるかもしれません。

20〜40歳の薬剤師を対象に行った研究[1]では、以下のような報告があります。

  • 腰痛の発生率は16.6%
  • 病院薬剤師で腰痛の発生率が高い
いな

実際に、私のまわりでも腰痛持ちの薬剤師が多くいました。

腰痛は慢性的な症状になりやすいです。普段からストレッチをして負担をかけないようにしましょう。

血管系疾患のリスクが上がる

足がむくんだ状態を放置していると、血流が悪くなって血栓ができやすくなります。

つまり、心筋梗塞や脳梗塞を発症するリスクが高まるのです。

いな

最悪の場合、障害が残り薬剤師として仕事ができなくなるかもしれません。

薬局労働者を対象にした海外の研究[2]では、29.4%が仕事に関連した血管系疾患を有しているという報告があります。

薬剤師は血管系疾患が起こりやすい職業のため、取り返しがつかなくなる前に日常的なケアが必要です。

元・病院薬剤師が教える!立ち仕事による疲れの対処法5選

立ち仕事による疲労が蓄積すると、改善が難しくなります。

そのため、症状が慢性化する前に日頃からケアできるようにしておくのが重要です。

実際に私が現場で行い、疲れに効果があった方法をお伝えします。ぜひ試してみてくださいね。

疲れの対処法
  • 着圧ソックスや軽い靴に変える
  • 隙あらば座る
  • 身体のメンテナンスをする(マッサージ、足のツボ、入浴)
  • 上司に相談し職場環境を変えてもらう
  • 転職を検討する

着圧ソックスや軽い靴に変える

足回りのアイテムを変えると、足の負担が減って足がむくみにくくなります。

とくに着圧ソックスは、重力が原因でとどまっている血液やリンパ液を押し上げてくれるので疲れがたまりにくくなりますよ。

私は妊娠中の勤務時、すぐに足がパンパンになって靴が履きづらかったのですが、着圧ソックスに変えてからは気にならなくなりました。

以下は実際に着用していた着圧ソックスです。

普段使っているアイテムを変えるだけでも疲労感はかなり変わります。ぜひ試してみてください。

隙あらば座る

業務に追われているとずっと立ちっぱなしの状態になります。

途中、10分でも座れる時間を意識的に作ると体力的にも精神的にも落ち着きますよ。

「座れる時間なんてない!」と思われるかもしれませんが、次のような場面で座れる時間は作れます。

  • 処方せんの内容から患者さんのカルテを確認するとき
  • 問い合わせ対応でデータやエビデンスを確認するとき
  • 患者対応後、対応内容をカルテに記録するとき
いな

私も、疲れたと感じたら何か目的を見つけて積極的に座り作業をしていました。

長時間座り続けるのは業務が回らないのでさすがにダメですが、こまめに座る時間を短時間でも作ると疲労感が減ります。さらに、気分転換にもなるのでおすすめですよ。

薬剤師は真面目な人が多く、つい一息つくのを忘れてしまいがちです。

仕事の目的を見つけて座るのは問題ありません。5分だけでもよいので、座る時間を取ってみてください。

身体のメンテナンスをする(マッサージ・足ツボ・入浴)

生じた疲労に対して早めに対処する習慣をつけておくと、疲れを持ち越しにくくなります。

私が実際に行っていたメンテナンスは以下のとおりです。

仕事をしながらできるメンテナンスかかとを上げ下げする
足首を回す
足の指をグーパー形に動かす
自宅で行うメンテナンス足ツボを押す(湧泉・足心)
入浴して身体をあたためる
いな

とくに、仕事をしながらできるストレッチは場所を選ばないのでおすすめです。

入浴時はお気に入りの入浴剤を入れてリラックスするのも効果がありますよ。取り組めそうなものから試してみてくださいね。

上司に相談し職場環境を変えてもらう

上記を取り組んでも改善がされない場合は、回復が追いつかないほど職場環境が悪いかもしれません。勇気を出して上司に相談してみるのもよいでしょう。

病院薬剤師の業務の中で立ち仕事が多い部署のランキングは以下のとおりです。

立ち仕事が多い病院薬剤師の業務ランキング
  • 1位:調剤室
  • 2位:病棟(病棟専任薬剤師)
  • 3位:注射剤混合
  • 4位:DI業務

運動量や立ちっぱなしの時間が少ない仕事ができれば疲労は回復すると考えられます。

同じ調剤室でも調剤鑑査であれば椅子に座れる時間が増えるかもしれません。

いな

つわりで立ち仕事がつらかった同僚は、上司と相談して椅子に座り調剤鑑査を中心に仕事をしていましたよ。

上司に思い切って相談すれば、職場環境を変えてくれるかもしれません。一人で悩まず、打ち明けてみてください。

打ち明ける際は「何に困っているのか」「どのような働き方を望むのか」を伝えると、相手も対策を考えやすくなりますよ。

転職を検討する

相談しても環境が改善されない……
取り合ってもらえない……

そんな場合は思い切って転職を検討したほうが、精神衛生上よいかもしれません。

同じ病院薬剤師でも、仕事量が比較的少ない慢性器病院や病床数の少ない病院を選ぶという選択肢があります。

さらに、活動量の少ない別の職種に転職するという選択肢もありますよ。

現在私は在宅でライターをしていますが、自分のペースで仕事ができるようになりました。

いな

夜勤もなくなったので生活リズムが安定し、健康的な毎日を過ごせています。

転職は勇気がいるかもしれません。しかし、無理をして身体をこわしてしまうと、できる仕事もなくなってしまいます。

深刻な事態を防ぐためにも、ぜひ転職も視野に入れてみてください。

この後に立ち仕事が少なめの職種の例を紹介するので、ぜひ読み進めてくださいね。

病院薬剤師の資格を活かせる立ち仕事が少ない職場はある!

薬剤師の資格を活かせる立ち仕事が少ない職種は以下があります。

薬剤師の資格を活かせる立ち仕事が少ない職種
  • DI職
  • メディカルコールセンター
  • CRA
  • メディカルライター
  • 医療系Webライター
  • 治験コーディネーター
  • 公務員(保健所、麻薬取締官など)

どれもデスクワークが中心のため、体力面を気にせず仕事ができますよ。

しかし、これらは求人が少なく、競争率が高めの傾向があります。

また、デスクワークが中心だからといって楽な仕事ばかりではありません。

いな

自分のやりたいことと合っているかどうかも確認して決めてくださいね。

なお、求人の検索の際には転職エージェントに相談するのがおすすめです。

希望条件を伝えて、どのような求人があるか調べてみるのもよいのではないでしょうか。

まとめ

病院薬剤師は業務内容上立ち仕事が多く、体力が必要な場面が出てきます。

今後も病院薬剤師としてスキルを磨いていきたいならば、身体をケアしたり、担当部署を変えたりして疲れをためない工夫をしていきましょう。

デスクワーク中心の職場への転職にも興味があるなら、転職エージェントに相談して求人を確認することから始めてみてくださいね。

薬剤師の資格を活かしつつ、自分の健康も守れるような仕事をしていきましょう!

参考文献

[1]Hue-Yu Wang et al.Incidence of low back pain and potential risk factors among pharmacists A population-based cohort study in Taiwan,Medicine, 2021 Mar 5;100(9):e24830.

[2]Irina Filina et al.Impact of working conditions on the health of pharmacy workers,BIO Web Conf.2021 Volume 30 p1-4

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